第壱影

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ふう、堪能した。 サービスで、コーヒー牛乳をタダとかラッキー! しかし、露天風呂が混浴だったとは…。 女子大生もしくはOLのグループに、ただの露天風呂だと油断していた俺の素顔を見られ、グループ全員にロックオンされたのには、困った。 普段、前髪で鼻まで隠しているが、童顔と言うか女顔と言うか…。 油断したのだ。 文字通り、胸を弾ませ湯をかき分け、接近する女性達から逃げる羽目に…。 着替えて髪を乾かし、番台を出た時、露天風呂で遭遇した女性達が待ち構えていたが、自分と気付かれることはなかった。 気配を極力消しコソコソしたかいがあったな。 アイドルとかジャニーズ系とか言われるが、女性に囲まれるとか、恐怖でしかない。 自宅に戻り、充電器に差し込んだままの携帯を開くと、何故かメールが開いているではないか!! メールの内容は以下の通り。 欲しい能力は? 異世界に行きたいか? この世界に未練は無いか? の3つだ。 3つ目は、藻部から聞いていない。 能力ね…。 欲しい能力はある。 メール内のアンケート枠に、影を自在に操る力、魔力消費最小化、自身の魔力値(並)、と書き込む。 異世界には行ってみたい。 この世界には、未練は無い。 10歳の頃、父親が蒸発。 12歳の頃、母親は病で死去。 育ての親の祖父も1年前に死去している。 家は、訳あって親戚と縁を切っている。 繋がりらしい繋がりは無いに等しい。 メールを送信し、ベッドに倒れ込む。 我ながら馬鹿だな。 明日は休み、少し遠出して山にでも行こう。 深い眠りの中、携帯に一通のメールが。 メールは勝手に開き、 『新たな世界へ、ようこそ!』
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