第1章

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高井田 聡一郎は、宿題途中で寝てしまった雪野 杏里を眺めていた。 家が隣同士の2人は、物心つく頃から一緒だ。 杏里がまだ幼かった頃は素直に「アンは、そーちゃんのお嫁さんになるのよ!」と周りに言って回っていたが、歳を重ねれば重ねるほどそんな言葉もなくなってしまうのは仕方のない事なのだろう。 聡一郎は、エアコンを切ってタオルケットを杏里の肩にかけてやった。 杏里は、俗に言う「ツンデレ」というものだ。 素直になれないで、ギリギリまで我慢する。我慢した結果、どうしていいか分からなくて、意地を張ってしまう。 だから、俺が杏里に「彼女になって欲しい」と告白した時も杏里は「何で私が彼女にならなきゃいけないのよ」と突っぱねられた。 言葉だけ聞けば酷く振られているように聞こえるが、トマトみたいな顔で言われたらかわいくて仕方なかった。ほんと、あの時はまじで可愛すぎた。 「う……ん。」 「あんりー、そろそろ起きないと宿題出来ずに朝が来るぞー」 「……なんじー?」 「…20時」 「うそ!!なんで起こしてくれないのよ!」 「寝顔、かわいいからいけないんだよ。」 「……っ!?」 ほら、また顔がトマト。 こうなる杏里が見たくて、俺はついつい甘い言葉をぶつけてしまう。 あー、くそ。 かわいいなぁー。 食っちゃいたい。食わないけど…まだ。
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