第1章

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翌日、俺は早速調査を始めた。 対象は石黒一樹【いしぐろかずき】という男、年齢は34、一部上場のIT企業に勤める会社員だ。妻と娘との3人暮らしで、家庭は安定しているようだ。 「ねぇ、おじさん!何してるの?」 対象者の家の前で資料に目を通している俺に、ランドセルの少女が声をかけてきた。 少し驚いたが、これまで浮気調査を多く担当していたため、こういう状況にはなんとなく慣れており、簡単な嘘をついて少女を追い払った。 それからすぐにその場を離れ、今度は対象者の会社に向かった。 対象者の会社は彼の家から30分ほどのところにあり、難なくたどり着くことができた。 が、しかし、対象者がすぐに現れるわけもなく、近くの公園で時間を潰すことにした。 数時間後、業務が終わったのか、社員たちがゾロゾロとビルから出てきた。俺はすぐさま立ち上がり、その人の群れに目を凝らす。 すると、すぐに対象者は見つかり、俺はそのあとをつけて対象者を追った。対象者はどこにも寄らずに家へと帰宅し、それから外に出ることもなく、その日の調査は終了した。 それから1ヶ月…同じように調査を続けたが、怪しい行動は見られず、調査期間は終わった。
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