第1章

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調査終了の翌日、俺は再び依頼主に会い、調査報告書を手渡した。依頼主はそれを笑顔で受けとると、満足そうに帰っていった。 不審に思った俺は、父に問いただそうとしたが、長期の出張に出ているらしく、連絡を取れなかった。 極秘依頼が終わったタイミングでの長期の出張…普通の親子ならば疑問を持つのだろうが、俺にとって父の長期出張は珍しいことではなかったため、「帰って来たら聞こう」としか思わなかった。 しかしその一週間後、会社を休み、自宅でテレビを見ていた俺はあまりに信じがたいニュースに目を疑った。 そのニュースは、極秘調査をしていた石黒家が放火に遭い、全焼したというものだった。 ニュースを見た数秒後、俺はすぐに立ち上がり、探偵社へと走った。 ところが、探偵社に着いてすぐ、俺は極秘依頼の目的とこの探偵社の真実に気づいた。 なんと、先週まであったはずの探偵社がもぬけの殻になっていたのだ。さすがに慌てた俺はすぐに父に電話した。しかし、その番号はすでに解約されており、連絡は取れなかった。
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