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懐き続ける篝火と闇 その声音で触れて 口づけの余韻は未だ 心の内側をなぞる 付き合わせた戯れと 微笑みを伝う涙の 忘れられない傷跡を いまが繋ぎとめる 綻ぶ想いはそのままに 照らされる程に影は深い 繋ぐ手は熱を帯びて 気持ちを揺らめかせる その視線で慣れて 瞳を重ねていくから 優しく拒んであげるよ 変わらずにいられるように 燻り続ける残火と愛 この夜明は去って 血の味の余韻は更に 心の内側をけずる 追憶は飾らない いつかの夢として 痛みは滲まない その時の幻にして 月が薄れていく 空の蒼に融けていく それでも微か映る姿は 刻まれたその記憶の光は たとえ消されようとも 決して失われることはない
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