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揺れてその端から溢れる雫 染めてこの命から零れた印 未知と未明の狭間の淵から 無垢で無謀な理想は生まれ 機知と気概の心裏の縁から 数奇で胡乱な史実は埋まる 穿つ言葉は誰かを傷付け 暴く真理は何かを壊して 嘆く前から逃げる人とは 笑う暇も指差す間もない 空の心を満たすものとは 天が光を落とす意味とは 思惟と思想に終始する程 答えは遠く彼方へ霞ゆく 紛れてその影から見えた標 留めてこの瞳から流れた滴 故に確と刻まれた道はない それは自らが選び取るもの 正しさとはただ一面の解答 囚われるような価値もない 貴方が思うように進めばいい 貴方の願うように歩めばいい そこにある痛みも悲しみも そこにある眩しさも喜びも 描かれていく世界の全ては 今も昔もずっと変わらず 貴方だけのものなのだから
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