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巡り失われる心模様 黄昏に置き去りにした 言葉と思いは忘れられて 眦から滲み出す悲しみの色 優しさを難しくして ひた隠しにした愛しさ 上から頭を撫でるように 舌先で煙に巻くその仕草で 君までの距離を目測で測った 時が夜を急かすほどに 鮮明な領域は狭められて 反転して折り返す砂時計は 刻一刻と預けられた命を削る 目に見えても届かぬものと 目に映らずとも伝わるもの すぐ隣にある幸せの意味を 今この瞬間に確かめてみる 満たされていく心に気付き 解かれていく記憶の後から 温もりだす想いは煌めいて 夜に浮かぶ柔らかな光に 当たり前にあるその光景を 刻むようにこの心に焼き付けて
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