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凍える雨に傷んでいく 連なる声に沈んでいく 暗い炎を抱き締めたまま…… つゆ弾く心の表面を迷わせて 解けたらすぐに突き刺すから 優しさだって今に薄れていく つま弾くその音に拐かされた 泡沫の日々は終わりを告げる 況して硬質な靴音に怯えて 迫りくる影を虚ろな瞳で 捉えている囚われていく 見ている見えていこうが 在ることには変わりない 然して意図なく落ちた総身 晒されて掠れていくのは 取るに足らない自尊心 余されて消えていくのは 聴くに耐えない虚栄心 失うことを躊躇わぬのなら 燃やせ燃やせ燻る火種を 暗い炎に宿る淡い温もりなど 跡形もなく燃やしてしまえ いつかまた生まれ出ように そしてまた夢が瞬くように 新たな火が産声をあげて 心に点されるその日を 雫降り注ぐこの場所から 命凍える今この瞬間から 空を仰ぐように願い祈りて……
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