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 下弦の月 艶やかに  徒労の輩 密やかに  昏き深緑の小路を辿る  湿気た香りの上を行く  久遠の刻 空籤の  孤独の檻 宛らに  昨日も今日も明日もない  答えも終りも余地がない  困惑が心を掠め揺れる  風音が時を拐い留める  道程は木の葉に隠され  吐息は虫の声に消える  点した火の後の闇の  更けた夜の其の陰は  泥濘に這い足を刈る  蔦のように絡みつく  死の故の光が迫り来る  身を焦がす誘惑が踊る   命からがら逃げ出した  その笑みに意味はなく  静けさに谺していく  苦しみが響いて    静寂から届いてくる  哀しみに喘いで  滑らかな暗闇を湛えた  淡い月明かりを集めた   深奥の泉に波紋が浮かぶ  雨よりも熱い雫が落ちる   それは重なりあうことなく  まるで歪み淀むこともない  淡々とその形を拡げ  深々とその象を為す  幻はこの手には掴めない  夢が現に残らぬように    時の流れは止められない  命がこの身に囲えぬように  誓いが自然に呑み込まれる  賭した思いが解かれてゆく  叶えられぬ痛みは募れど  苛む焦燥はそこにはない            
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