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 針の先端の煌めきが掠めた  瞬きで過去となる現在  夜の背後に伸びるは人影  風を逸らした呼吸を止めて  心 叫び 押し殺す鼓動  刻 灯り 突き放す孤独  青く揺らぎ唐突に胸を刺す  拙い盤上の思惑を穿ち  更に震えて鮮烈に胸を打つ  儚い空想の展開を砕く  銀の冷たさは身に堪える  残る余白は幾ばくもあらず  終わりと始まり  さざめきの調べ  煤に汚れた昨日は失われ  身を焦がす憎しみは消え  牙の抜けた獣は項垂れ  明日の予感に埋もれた  光ひとつない場所から  悲しみと喜びは生まれ  光溢れるその世界から  痛みと苦しみは訪れる  手のひらに刻んだ傷跡が  噛み締めた唇の血の味が  巡り巡りてまた滲み出し  在るべき場所を炙り出す  安らぐ様な現在は要らない  凍える様なこの今が欲しい  何もかも全てを掻き消して  まっ更な命の嘆きが紡ぎ出す  白と零の凄絶な世界が欲しい
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