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 砂時計は歪な螺旋を描く  傍らに時を伴わず  故に朝も夜もない  深い霧の重さは渦を巻く  瞳の有無は失われ  偏に前も後もない  遠い囁きに耳を澄ます  かなしみが嘲笑った  いとしさが込み上げた  古い音色は奏でられる  静けさにひとつだけ  寂寥の縁を添うように  緩やかな想いを重ね  声と言の葉を置いて  熱を帯びた眦を抱き  空と雲の間を見据え  篩に落としていく  心を整えていく  いつもより深い領域で  水底に陽を当てるように  あの煌めきを探していく  その願いを見つめている  手を伸ばしたその先から  指先に触れたその場所から  今ではないいつかは紡がれる  それが例え泡沫の夢としても  振り返らず立ち止まらず  自らを信じられたなら  もう恐れるものはない  確かに刻んだその道標が  これからの未来を照らすだろう      
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