宝物

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「はる、湯冷めするよ」 ふと響いた呆れ声と、ふわりと身を包む暖かさ。 それが毛布を羽織った光輝の腕だと気付いて、俺はそのまま、光輝に身を預けた。 「へーきだって、今あったかいもん」 「それは毛布のおかげです。ほらもー、髪冷たいし」 「光輝も冷たいけど」 「俺はいいの! 風邪引くのはいつも悠なんだから。だいたい、こんなとこで何してたの」 風呂上がりなのに、と。 言外の言葉が光輝の心配を表しているようで、俺はもぞもぞ、腕の中で身をよじった。 肩越しに、光輝を見上げる。
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