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「俺はいつ、縛られるのかなぁ」
榊の目が、子供に狙われた金魚のように揺れ動く。
天城は至極満足そうに笑った。
「ねぇ、綾くん?」
「っ……あんた、気付いてたんですか」
「だってー、俺今日、誕生日なんだもん」
20も過ぎているというのに、あざとく小首を傾げた天城が、満面の笑みを浮かべる。
榊は無表情と評される自身の顔が熱を持つのを感じながら、深く息を吐いた。
「こういうの、遼さんは嫌がるかと思ってました」
「綾くんがくれるもの、俺が嫌がるわけないじゃん」
「昔あげたピアス、気に入らないからって飾られてますけど」
「綾くんからじゃなかったら捨ててますー」
「それはそれで……」
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