傘便り
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憂鬱そうにため息を吐いた陸は、 ポケットから出した紙切れを自分の傘の柄に結び付けた。 「……ねぇ、傘」 声をかけただけで、 バクバクと心臓がうるさく跳ねる。 下駄箱の前で屈み込み、 黙って雨を見つめていた彼が陸の声に立ち上がる。 陸より少し高い彼の目線。 鋭い目付きとワックスで固められた金の髪。
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