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「あ、悪い」
きっかけは、廊下ですれ違ったこと。
漫画みたいに肩をぶつけて、反射的に振り返った先にいたのがお前だった。
いかにも委員長って感じの、黒髪眼鏡の地味な男。
入学して数ヶ月の頃だったとはいえ、半袖のカッターがやけにだぼだぼしていたこと、よく覚えてる。
それ以来俺は、よくお前と目が合うようになって。
最初は気にも留めていなかったのに、あまりに目が合うものだから、なんとなく見返したりもした。
俺がそうやって小さな仕返しをすると、決まってお前の目が揺らぐんだ。どうしようって、動揺するみたいに目を泳がせて、最後はふいっと顔が背けられる。
なんだか小動物を揶揄ってるみたいで、凄く面白かった。
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