宝物

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親友と呼べるくらい仲の良かった友達も知らない、そんな小さなやりとりを1年続けて、2年になった頃。 俺は初めて、お前の名前を知った。 小林 光輝。 みつき、なんて女みたいな響きだけど、お前の太陽みたいに暖かい性格には、ぴったりな名前だと思ってる。絶対に、言ってやらないけど。 結局俺たちは2年でも同じクラスにはなれなくて、去年よりも離れたクラスの分、遠くなった廊下で視線を交わしてた。 目を泳がせる癖は、変わらなかった。 そうやって、声を通さない交流を2年続けて、3年に上がった時、教室に張り出された名簿に、お前の名前を見つけたんだ。
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