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回診が終わると特にすることはなかった。昼と夜にシャワーを浴びて薬を塗るのが治療だから点滴などはしない。飲み薬はある。
テレビをつけてもいい番組はないだろうし。外を眺めていると車や人がたくさんある。どれも動いている。
あー。置いてかれる。
そう思ってしまう。
自分は止まって外の人は動いている........
最初の時よりもその気持ちが強くなっている。嫌な気持ち。これが襲ってくるのだ。
自分で勉強すればいいのだがそんな気力はない。教科書を広げて見ているだけでもいいかもしれない。だが、わからないところがあると痒くなってしまう。ストレスが1番良くない。
「外に行きたい!」
隣のベッドから聞こえてきた。6歳ぐらいの男の子なら外に出て遊びたいだろうに。この歳ぐらいなら外に出て遊ぶことは、とても大切だ。
「点滴があるからダメよ。お医者さんも外はダメって言ってたよ」
すぐにお母さんが言う。
自分と隣のベッドの間にカーテンがあるから見えなかったが、点滴をしているのか。と知った。そのぐらいの歳の子が点滴.......しかも、入院しているのだ。お母さんだって外に連れていってあげたいだろう。
病気は酷い。いっぱい大切な物を奪ってしまう。神様なんていない。元から信じていた訳でもないが。はっきりといないとわかった。
病気さえなければどんなによかったことか.....普通でいいのだ。
なにも、運動神経がいい。とか。勉強ができる。とか。芸術の才能とか。はいらない。普通の肌がほしい。あとはいらない。なにも、贅沢なことは言っていない。でも、病気になる運命なのかもしれない。
まあ、なってしまったのだから何いっても遅い。愚痴を言えば治るものでもない。薬を塗り。飲むしかないのだ。今までそうしてきたが治らない。
なにを信じていいかわからない。
クラスに居たときだって、罵詈雑言。
人や物を信じられなくなっていた。
嫌な性格。
それもすべて病気が悪い。悪いのだ。
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