第1章

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回診が終わると特にすることはなかった。昼と夜にシャワーを浴びて薬を塗るのが治療だから点滴などはしない。飲み薬はある。 テレビをつけてもいい番組はないだろうし。外を眺めていると車や人がたくさんある。どれも動いている。 あー。置いてかれる。 そう思ってしまう。 自分は止まって外の人は動いている........ 最初の時よりもその気持ちが強くなっている。嫌な気持ち。これが襲ってくるのだ。 自分で勉強すればいいのだがそんな気力はない。教科書を広げて見ているだけでもいいかもしれない。だが、わからないところがあると痒くなってしまう。ストレスが1番良くない。 「外に行きたい!」 隣のベッドから聞こえてきた。6歳ぐらいの男の子なら外に出て遊びたいだろうに。この歳ぐらいなら外に出て遊ぶことは、とても大切だ。 「点滴があるからダメよ。お医者さんも外はダメって言ってたよ」 すぐにお母さんが言う。 自分と隣のベッドの間にカーテンがあるから見えなかったが、点滴をしているのか。と知った。そのぐらいの歳の子が点滴.......しかも、入院しているのだ。お母さんだって外に連れていってあげたいだろう。 病気は酷い。いっぱい大切な物を奪ってしまう。神様なんていない。元から信じていた訳でもないが。はっきりといないとわかった。 病気さえなければどんなによかったことか.....普通でいいのだ。 なにも、運動神経がいい。とか。勉強ができる。とか。芸術の才能とか。はいらない。普通の肌がほしい。あとはいらない。なにも、贅沢なことは言っていない。でも、病気になる運命なのかもしれない。 まあ、なってしまったのだから何いっても遅い。愚痴を言えば治るものでもない。薬を塗り。飲むしかないのだ。今までそうしてきたが治らない。 なにを信じていいかわからない。 クラスに居たときだって、罵詈雑言。 人や物を信じられなくなっていた。 嫌な性格。 それもすべて病気が悪い。悪いのだ。
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