第1章

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車が10分くらい走ったところで、親父の家についた。親父の家はたいそうなものではなかった。普通の民家だった。 そりゃそうだと思うが、さっきまでの大通りとはあきらかに景色が違う。少し裏道を抜ければ、大通りがあるが、そこはビルで囲まれている。大きなデパートもある。その風景はピザッツ星よりも繁栄しているように思えるが、ピザはたいして羨ましいとは思わない。 「ようこそヘブンへ」 親父は玄関へと促した。できればもう少しだけ街の空気をすいたかったが、素直に応じた。 玄関はなんというかカオスだった。 靴箱の上には、マトリョーシカがようこそと言っている。ように、見える。 トーテムポールの傘だて。傘は花柄ばかりだ。玄関に無造作においてある靴は、どこかの民族みたいな柄物ばかり。相変わらず、個性的な趣向の両親だ。
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