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「なんだこれ」
引き出しの中には小物入れが一つ、心当たりが無く今度は無意識に呟いてしまった。
ピンクを基調とし、ラメがあしらわれて動かす度にキラキラと光る。幼い女の子が好みそうだ。
そしてそうすることが当然であるかのように、僕はその蓋を開けた。
「……なんだこれ?」
先程よりも謎が増す。中にはトップに四つ葉のクローバーの飾りが据えられた、いかにも安物なネックレスが入っていた。これだけだった。
見覚えがあるような、ないような。僕はアクセサリーの趣味はないからプレゼントで貰ったのかな?プレゼントだとしたら、その人のセンスをちょっと疑う。
ネックレスを垂らしてみても、やっぱり良さそうな物には見えない。
「ん?」
僕の視線はネックレスの奥、タンスの上にある目覚まし時計に流れた。時計の針は丁度、真上を指している。
お昼か、そう認識すると心なしか空腹を感じる。とはいえ、キッチン回りはもう片付けてしまっている。
お金は少し勿体無い気はするが外で簡単に済まそう。捨てられたように床に転がる財布とキーホルダーを拾い上げ玄関に向かう。
靴を履こうとしたところで気が付く、手にはネックレスが握られたままだ。たった数歩の距離なのにわざわざ戻しに行くのが億劫に感じてそれをポケットに突っ込んでから、僕は部屋を後にした。
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