第1章

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夏休みのある日の午前、私は母と一緒に亡くなった祖母の部屋を片付けていた。すると隅の方にある小さな桐箪笥の中から母が櫛を見つけた。祖母が持っていたにしてはあまり古く感じない、黒色で持ち手に赤色でこけしの顔が描かれている、なかなか可愛らしい櫛だった。母から受け取り、眺めていると、こけしの細めた目と何故だか目が合った気がした。「ねぇ、お母さんこの櫛、私が貰っても良い?」無意識にそんな事を私は言った。母も、流行り物が好きな私がそんな事を言ったのは意外だったのか、少し驚いた顔をしながらも「お婆ちゃんの形見だから、大事にするのよ」と嬉しそうに言って許してくれた。 夜になって、私は自分の部屋で櫛を眺めていた(なんで私、こんな櫛欲しくなったんだろ…)そんな事を思いながら櫛を眺めていた。櫛を握っていたら「え」黒色の櫛が肌色に染まっていく「え、は…なにこれ」私は急に怖くなって櫛を机に放り投げた。そこで私はふと前に見たテレビの内容を思い出した、その内容とは、人の体温で色の変わるペンキが開発されたと言うもので、「は、ははなんだ、この櫛最近作られたやつなのかな、びっくりしたー」私は少し安心して、また櫛を取った。見れば見るほどこけしの表情が愛くるしく見えてくる。櫛目も細かくてこれで髪を梳かしたらさらさらになりそう。急にこの櫛を使ってみたくなった。ゆっくり髪を梳かす、もう一度梳かす、さらさらさらさら、(なんだろう何故だか自分が変わってゆく気がする)ふと部屋にある姿見を見た、髪が、髪の色が変わっていた。黒髪から、金色、いやこれは…(肌色……?でも、なんで、そんな櫛で梳かしたぐらいで…最近は髪染めも進歩してる(?)って事なのかな……)その時は、そんな適当な事を考えて自分を納得させた。 次の日は、昨日の事が気になり色々試して見た。そしたら櫛の事で分かったことがある。この櫛は触れた物の色に変わって、髪を梳かすとその色に変わる。凄い、でも1つおかしな事がある、なぜだか色が変わる度にこけしの表情が変わる。(何でだろ…こけしにも好きな色とかあるのかな)でも、驚き顔、泣き顔、怒り顔、何故だか笑わない。何でだろ好きな色じゃなかったのかな。まだ試してない色…あか赤!赤赤赤!どうしよあかいろないどうしよっあっあかあったうでのなかにあるださなきゃ ぶしゃ でたでたあかあかあかかたすけてあかあかあかあかあっこけしワラッタ
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