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「楓~~~~」
「な、何。どうしたの」
「大好き、楓」
好きの気持ちが溢れだしてしまい。
また、新婚旅行の行き先なんかで拗ねていた自分が恥ずかしくて、楓に申し訳なくて。
佳奈子は楓の背中に腕を回し、ぎゅうっと力いっぱいその体にしがみついた。
びっくりしたように身じろぎしていた楓だったが、甘えてくる佳奈子のつむじを見下ろし、クスッと小さく微笑んだ。
「俺、実はめちゃめちゃ楽しみなんだよね、国内旅行」
「…………え?」
「浴衣姿の佳奈子さん見れるなんて、国内ならではの醍醐味でしょ」
それを聞いた佳奈子は思わずプッと吹き出し、ゆっくりと楓の胸から顔を上げた。
背中に腕を回したまま、間近で楓の顔を見上げる。
「…………エロい。楓」
クスクス笑いながら言うと、楓も同じように笑いだした。
そうしてコツンと佳奈子の額に自身の額を合わせる。
「一緒に書こうか、婚姻届」
「…………うん」
「朝日奈 佳奈子、になるんだね」
「うわ、長っ」
額を合わせたままクスクス笑い合い、二人は互いの体に腕を回した。
どちらからともなく、唇を重ねる。
こんなに幸せで、時が止まってほしいとさえ思える時間を、佳奈子は今生まれて初めて経験したのだった。
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