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『偉いよね～、佳奈子は。私にはデキ婚は無理だわ～』
皮肉混じりの友人の声を聞きながら、佳奈子はウンザリと内心で嘆息した。
結婚式の日取りが決まり、とりあえず招待状を出す前に友人に電話で報告をして回っているのだが。
高校の友達グループの一人、この理香にだけは最後まで報告を躊躇っていた。
以前、理香が好意を抱いていた男性が佳奈子のことを気に入ってしまったという一件があって以来、何かと理香は佳奈子と張り合うようになっていた。
同じグループに仲のいい子が何人かいるので、何となくズルズルと友人関係は続いているのだが。
ハッキリ言って、どこで縁が切れても別にいいとさえ佳奈子は思っている。
理香は１年前に地方公務員と結婚したのだが、佳奈子より結婚が早かったことにかなりの優越感を覚えていたようで。
佳奈子の結婚の報告を聞いて一瞬面白くなさそうな返事を返していたが、一介のサラリーマンと出来ちゃった結婚をすると言った途端、形勢逆転とばかりに声を弾ませた。
『私は準備にたっぷり１年はかけたから～』
「……うん、そうだったね」
『そんな慌ただしかったら、ろくな結婚式場取れなかったんじゃない？』
「───別に。そうでもないよ」
ヒクッと笑顔を引き攣らせながら、佳奈子は努めて平静を装った。
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