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「ハガキ持参の人だけ、半額になるんだけど。……代わりに朝日奈さん、行ってくれない?」
「えっ!?」
あまりにも急な話に佳奈子は酷く面食らった。
更に麻里が早口で捲し立てるように話すので、話の内容の半分も理解できなかったのだ。
「え、えっと、つまり……マタニティー用品を扱うお店にお友達が働いてて……?」
「そう。でも私は行けないから、せっかくなら朝日奈さん、どうかしらって思って」
「……………」
「妊娠したら何かと物入りじゃない? 診察は保険きかないし、お金凄くかかるでしょう? ……どうせいつか買うものなら、半額の方が得でしょ?」
(………確かに……そう、だな)
何しろデキ婚で、お金は本当にいくらあっても足りないぐらいだ。
必要なものなら、せめて1円でも安く買い求めたい。
(それに……そういうの楓と一緒に見て回るのも楽しいかも……)
顎をつまんで、佳奈子はう~んと思案した。
チラッと麻里の顔を見上げる。
「でも、あの……いいんですか? 初対面の私が代わりに行っても……」
「行かなかったらハガキ捨てるだけだもの。どうせなら貰ってほしいわ」
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