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「まぁ、元気なら良いんだよ。ええと、その方は?」
「あ、ええと、」
どう説明すべきかとドクを見上げたら、ドクは意外にもって言ったら失礼ですけど、意外にも、きちんと挨拶をしました。
「みどりの保護者のような者です。お話しはよく聞いております。いつもなにかと気にかけて頂いてるようで」
「あぁ……いやいや、構わないんだよ」
そういうと、薬屋さんはちょっとなにかを考えて、口を開きました。
「ええと、つまりあなたが」
「みどりの造り主に当たります」
「そうか、お嬢ちゃんの家族ですか」
にっこりと、薬屋さんが笑います。家族。わたしは口の中で呟きました。わたしの、家族、ドク。不思議な文章の繋がり方、とわたしは思います。
どうやらそれはドクも同じようで、咳払いをひとつしてから、口を開きました。
「まぁ、そうなりますね……あまり、家族というものに縁のないものですから」
「あはは、面白いこと言うねぇ」
「はい?」
「どっからどう見ても家族じゃないですか」
「はぁ……」
ドクがすっとぼけたような顔で不抜けた返事をします。理解出来てるのかしら。わたしが出来てるとは思えませんから、どうにも。
そんなわたしたちを見て、薬屋さんは笑みを深くします。理由は、解らないですけど。それが温かいものだから別にいいかな、なんて思ってみたり。
温かいことはいいこと、です。
みどり、とドクがわたしに声をかけました。
「店の中に入ってて。僕と薬屋さんでちょっと話すから」
「え?ドクと薬屋さんと二人で、ですか」
「そうだけど?」
「……ええと薬屋さん、この人だぁいぶ失礼なこと言うかもしれないですけど、だいたい悪意はないので大目に見てあげてくださいねっ」
「ちょっと、みどり」
「間違ってませーんもん!」
爪先でくるっと半回転。薬屋さんの自動ドアの前に立って、ドアが開くのを待ってから店内にお邪魔しました。ポップな明るい音楽が流れてました。クラシックとかじゃないのが、なんとなくこの店の店主のあの人らしいと感じました。
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