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真斗は、
額に大粒の汗が一滴流れるのを感じた。
何も思い出せないのは酸欠のせいか、
肩で息をするほど、
何故か激しく息切れをしている。
目を真面に
開けられないままの真斗だったが、
目の前にいる人の声だけは、
何とか聞き取れた。
「人の生きてる意味や理由…
考えた……
これが…“セカイヲスクウ”―」
その声が小さく、掠れていたため、
真斗の耳に優しく響き、
その意味は脳内を流れ
ゆっくりと浸透していく。
その人がそう言いながら、
真斗に差し出したのは、
白いノートだった。
掠んだ目でそれを見た真斗は、
何故かドキッとした。
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