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「おはよう、真希。今日はちょっと早いね」
教室に入ると、前の席の祐里がいつも一番に気づいて挨拶をしてくれます。
「おはよう。今日は早く起きれたの」
私は鞄を下ろして、椅子に座ります。その時、チャリンという音が聞こえました。
「あ、真希お金持ってるでしょ」
ニヤニヤしながら祐里が私を見ましたが、私は疑問に思うことがありました。私は普段、ポケットには何も入れないようにしているのです。だから、ポケットの中には100円玉が1枚しか入っていないはず。1枚だけで音は鳴るでしょうか。
「さっき、100円玉拾ったの」
ポケットに手を入れた時、私の疑問は正しかったと確信しました。私の指は明らかに2枚の硬貨に触れたのです。掴んで机の上に置いてみても、やはり100円玉は2枚ありました。
「いいなあ。200円も拾ったの?」
私は首を横に振りました。
「拾ったのは100円だけだよ」
そう言うと、祐里は首をかしげました。
「でも、200円あるじゃん」
私だってわかっています。でも、こう答えるしかありませんでした。
「そうなの。なんでだろう」
祐里はケラケラ笑いました。
「元々入れてたの忘れてたんじゃないの。あ、穂花おはよう」
「おはよう。祐里。真希。ねえ、聞いてーー」
隣の席の穂花が来たことで、その話は途切れました。100円玉については、私が忘れていただけなのかなと深く考えずにそのままポケットに戻しました。
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