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4年前に起きた自身の身体の事。
その事で、当時付き合っていた人と距離を置いてしまった為に別れる結果になった事。
それ以来、人を好きになる事を避けてきた事。
そして、今でもその時の小さな傷が残っている事。
ひとつひとつの言葉を慎重に選びながら話す私の震えている手を、梶谷は安心させるかのように優しく包んでくれていた。
独りが良いなんて、本当は弱いくせに強がっていただけなのかもしれない。
伝えたたい事はまだあるのに、上手く言葉が紡げない。
すると、再び強く抱きしめられた。
泣きそうになるのを堪える。
梶谷は今の私を丸ごと受け入れるから、そのままでいいから、と言ってくれた。
だからその言葉を信じて、抱きしめてくれている人の温もりをずっと感じていたい。
「・・・私って結構面倒くさいかもしれない」
「それでも構わないよ。少しくらい世話の焼けるくらいの方がいい。
俺はどんなことがあっても椎名を離したりしないよ。
もし、俺達の間で何か起きたら、たとえ小さなことであってもきちんと話していこう。」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れた。
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