僕が演じる学校の怪談

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「フフ、フフフフッ……――ッ!」  ダメだ、今からあの憎き山田を  泣かすと思うと笑が堪えられない……  (カツン、カツン……ヒソヒソ)  (カツン、カツン……ヒソヒソ)  おっと、複数の足音とヒソヒソと話す声!  どうやら山田がやってきたようだ! 「(フフフッ、フー、フー、フー)」  僕は興奮気味に息を殺してジッと待つ。  来るぞ、来るぞ、来るぞ、来るぞぉ! (ガラガラ……)  ついに、理科室の扉が開いた!  暗くてよく見えないけど……  うん、そうだ……あの後ろにいる奴!  一番大きい体の奴が山田に違いない!  理科室をコソコソと歩き回って  最後に教室を出ようとしている  その、一番大きい影!  僕は息を殺して……  そう、音を立てずにゆーっくりと  背後から忍びよる!  一歩……  また、一歩……  さあ、さあ、さあ、さあぁ!  復讐の時間だぁ!  泣け、山田!  叫べ、山田!  喚け、山田!  そして後悔しろ、山田ぁぁあッ!  ゆっくり、ゆっくり忍び寄る  大丈夫、大丈夫まだバレてない。  一歩、  一歩、  また一歩、  静かに……  音を立てずに……  慎重に……  一歩、  一歩、  もう一歩……  まだ山田は気が付かない!  笑い出しそうになる声を  必死で堪えて、もう少し、あと少し……  一歩、  一歩、  最後の一歩……ッ!  僕の気配を感じて振り返った  その山田に対して  ――――そう、僕はッ!
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