脳内投影ブックカバー

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ちょっと待てよ、それにしてもこの町は静か過ぎやしないか。 こんなに大音量の警告音が鳴り響いているというのに、誰も文句ひとつ言わずにいる。 というか人の気配がないような。 周りは住宅街。青い空に白い雲。電線には雀が三羽。 気持ちいいそよ風が首筋を撫でていく。 どこにでもある風景だ。なのに、人の姿がない。なぜだ? あれ、俺は何か大切なことを忘れてはしないだろうか。 ここは……どこだったろうか? あれ? 目が……。 どうしたことだ、景色が揺れている。なぜだ? 眩暈かと思ったのだが、そうではない。完全に景色が乱れて歪んでしまっている。 電波妨害されて映像が乱れてしまったときと似ている。 だが、これは映像ではない。 俺が見ている景色だ。この目で直に見ている景色だ。 俺の目がおかしくなっちまったってことか? どんどん景色が乱れていき、黒い渦のようなものが見え始めていた。 おかしくなったのは目だけじゃない。 耳もキーンと鳴って気が狂いそうになる。頭が割れそうだ。
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