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「ダメ、目を開けて。このままだと意識の狭間に取り残されてしまう」
何? 狭間がどうしたって?
朦朧とした意識の中、視界に入ってきたものがいた。小人だった。けど、どこかで逢ったことがある顔だ。
可愛らしい女性だけど誰だったっけ?
俺は幻でも見ているのだろうか。
それとも、すでに意識を失い夢でも見ているのだろうか。
「時間がない。とにかく私を受け取りなさい」
どういうことだよ。
そんなことより眠い。
「こらーーーーーダメ、ダメ、ダメ!!」
いきなり俺は可愛らしい小人からビンタの嵐の洗礼を受けた。
「痛いだろうが!!」
罵声を浴びせ小人を睨み付ける。当然のことだが、ぱっちりと目が覚める。
夢でもなんでもない。確かにそこに小人は存在する。
「本当に時間ないの。早く、『貰う』と言って」
「なんで?」
「あなたのためよ。このままだと意識崩壊しちゃうからね」
まったく状況が掴めない。
この小人を貰い受けることが俺の意識とどう関係するというんだ。
わからない、まったくわからない。けど、こんなに可愛い小人なら貰ってもいいか。
そう思ったところで、後頭部を突然殴られたような激痛が走った。
顔を顰(しか)めて呻き声を上げる。
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