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カウンターの上に例の箱を置くと、 村坂は手に取り、物珍しそうに眺めた。 「確かに、 値打ちもんといえば そうかもしれないが。 それでも、 売ったってたいした額にならないだろ、 これ」 「売るんじゃない。 これは、願いの叶う箱なんだ」 「願いの叶う、ハコー?」   怪訝そうな村坂に箱の説明をする。 こういう都市伝説とか 胡散臭いものの嫌いな村坂は、 案の定知らないようだ。 「ふーん。信じられないけどな」 「嘘だと思うんなら、試してみろよ」 「まあ、 おまえの遊びに乗ってやってもいいか」   準備してきていた紙とペンを、 村坂に渡す。 酔って、 気の大きくなっている村坂は 受け取ると、 なにを書くべきか悩み出した。
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