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第三章
強引に校舎裏に連れ去られた、俺は那珂湊に向かって叫ぶ。
「いきなり何だよ!なにがしたい!」
「ひぅ…」
体力に自信がなかったのか、荒い息をする那珂湊はさらにその体を縮こませる。だが俺はそんな彼女を安心させるわけがない。突然行われた意味不明な茶番劇に苛立つ。これで俺はクラスで彼女に告白された扱いを受け、男子に拷問にかけられるのだろう。
「ご、ごめん…なさい…。悪気は…なかった…です…」
「チッ」
軽く舌打ちをする。何なんだまったく。
「こんな茶番をして何になる?俺が拷問にかけられるのを望んででもいるのか?マジふざけんなっつうの」
俺は彼女に背を向けて歩き去ろうと思う。こんなときでも恐らくクラスの連中が監視しにきてるから、恐れ入る。
「まっ、待って…」
彼女は俺の服を掴み止める。汗で湿った制服から下着がうっすら見えるだけで眼福ということにしておこう。
俺は隣に来ていた流れ星を掴みとり、口に含む。
ああ、感じるぞ、我が魂の鼓動!!嘆きが一回りして幸せに転じたのか!神経と魂がユニゾンして神秘的な何かを産み出そうとしているのか!スープが絶妙に絡まり、そのコッテリした味を濃縮した濡れ乾麺、飛び散る味噌の味、口内で麺がのたうちまわり、センスを増加させるコーンとモヤシも忘れないぞ。
「私…館山くんのこと…好きなの…」
最後に来るのはやはりスープ。何千年もの間煮込まれ続けたかのごとく、一億光年もの先の未知の素材をはるかに超えるうま味成分、それが味噌に凝縮されているのだ!ピリッと感じる香辛料の辛味、そして現れるのは、天を駆けた者だけが授かれる甘味。そのイリュージョナルが我が魂の鼓動に拍車をかけるのだ!
…え?
「え?」
至福の時空を切断する告白、恐れ入りました。
「だ、だから…好きなんです…館山くんの…こと」
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