第1章

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 翌日、届いたそれを早速手首に巻いてみる。  その瞬間、その道具からけたたましい警報音が鳴り始めた。  残念なことにこの道具は私に迫る危機を知らせてくれはするものの、その危機がどんなものなのかまではわからないようだ。  けたたましい音を鳴り響かせたまま、私は部屋の中で右往左往するしかない。そうするうち、この音が近所迷惑になってはだめだと思いつき、慌てて手首からその道具をはずした。その途端、それは静かになる。  ほっと胸を撫で下ろした私は冷静になって考える。  まさか家の中にまで危機が迫っていようとは。家にいる私の身に迫る危機とはいったいなんだろう?強盗か?それとも火事でも起こるのか?  私は警戒しながら家の中をくまなく見て回った。戸締りもしてある。押入れや納戸に誰かが潜んでいることもない。火の元も大丈夫だ。  なんだ。家の中に危険なものなど何もないじゃないか。そう思いながら再び例の道具を手首に巻いてみる。その瞬間、またしても警報音がなり始めた。  
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