第1章

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 慌ててその道具を放り出した私は怪訝な思いでそれを見つめる。  なんだというのだ。いったいどんな危機が私に迫っているのだ。まさか空から隕石でも降ってくるのではないだろうな?だとしたらそんな危機、回避のしようがないぞ。  得体の知れない危機に苛立ちを覚えた私は、それを静めようとポケットからタバコを取り出した。そこでふとある考えが思い浮かぶ。  その考えを確かめるべく、私はタバコを箱ごとゴミ箱に放り込んだ。それからおもむろに例の道具を腕に巻いてみる。すると、その道具はなんの音も発さない。  そういうことだったのかと私は一人納得した。タバコが私に危険を及ぼすということだ。そう。タバコは肺ガンのリスクを高めるのだから。  ところが、一安心していたのも束の間、またしてもそれがけたたましく鳴り始めた。  どうしたことかと私は慌てふためいた。これ以上何がある?もうどこをどう探しても私に危険を及ぼしそうなものは何もないぞ。鳴り響く警報に辟易した私は思わずポケットをまさぐっていた。習慣でタバコを探してしまったのだ。ついさっき、捨ててしまったばかりだというのに……。と、そこでまたしても、ある考えが頭に浮かんだ。  この家の中で唯一確認していないところがあるではないか……と。  
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