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この空間だけ夢の様に歪み、全てが狂っていた。
私と俊行は交わりながらまた快楽に溺れ、その中で私は俊行の体にナイフを突き立てていた。
俊行は堪えながらも、快楽と痛みの呻き声をあげていた。
私は愛しいが故に私を見つめていた目をえぐり取り飲み込む。
キスを重ねた唇も噛みちぎり。
私を包む優しい胸もえぐり取り夢中で食べていた。
愛しくて堪らない、私のものにするために全て食べてしまいたい…
俊行はひたすら
「早紀…愛してる」
と呪文の様に繰り返していたが、もうその声も消えていた。
私は夢中だった。
いつの間にか日が登り朝になっていた。
俊行の体は胴体以外を残しほぼ骨がむき出しになっている。
裸のまま血だらけの私は食べるのにも疲れ、俊行の残骸の横で深い眠りについた。
カーテンの間から零れる朝日に照らされ、赤い体の死神が骸を抱き、不気味な程綺麗にまるで一枚の絵の様に照らされていた…
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