10秒スイッチ

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勇一がスイッチを手にしてから、数ヶ月経ったある日。 この日も勇一は小金を稼いでいた。スリにも慣れ、ここ最近はスイッチを使っていない。 稼いだ金も一気に入金すると怪しまれる恐れがあるので、定期的に一定額を入金するようにしていた。 この日はちょうど稼ぎをいくらか入金する予定の日で、勇一の足は銀行へと向かった。 まだ残暑が残るこの季節、銀行の自動ドアが開くと室内の涼しい風が一気に勇一の体を包む。 受付嬢のいらっしゃいませ、という声が重なる中、ATMへと向かっていく。 怪しまれない範囲に数万円だけ入金すると、その後表示された貯金残高に笑みがこぼれた。 その時だった。 「全員動くなっ!」 男の怒声が店舗内に反響した。 「おら、てめぇこれに金をつめろ」 人数は三人。全身迷彩柄の服に黒い覆面。 リーダーとおぼしき一人は拳銃を、連れの二人はサバイバルナイフをそれぞれ得物としていた。 金を入れるようバックを放り投げられた女性は、怯えながらも現金を入れていく。 「いいか、余計なこと喋ったり動いたりすりゃぶっ殺す。銀行員はその女以外、全員頭に手をのせてこっち来い」
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