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麻里のマンションは、病院から車で5分程の所にあった。
クリーム色の外観のまだ新しいマンションで、麻里はここの5階に住んでいるらしい。
「散らかってるけど、どうぞ」
ドアを開け、麻里は快く佳奈子を室内に招き入れた。
佳奈子は恐縮しながら靴を脱ぐ。
「………お邪魔します」
「どうぞー」
軽快に答え、麻里はすぐに冷房を入れた。
9月になったとはいえ、世間はまだまだ残暑が厳しい。
綺麗に片付けられたリビングで所在なげに佇んでいると、キッチンに向かいながら麻里は笑顔で佳奈子にソファーを勧めた。
「そちらにどうぞ。楽にしててね」
「あ、ありがとうございます」
軽く会釈をしてから、佳奈子は遠慮がちにソファーに腰を下ろした。
「飲み物、何がいい? 冷たいものがいいわよね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ケーキと一緒なら、コーヒーのほうがいいかしら」
「……………え?」
驚いた佳奈子は思わずキッチンにいる麻里を振り返る。
始め麻里はキョトンとしていたが、しばらくしてハッと何かに気付いたようだった。
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