対峙-2

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佳奈子はそっと楓の背中に腕を回す。 そうして愛しげに頬を楓の胸に押し当てた。 「…………楓」 「…………っ」 名を呼ぶと、楓は更に強く佳奈子を抱きしめた。 体は小さく震え、トクトクトク…と速い鼓動が佳奈子の耳を打つ。 それを聞きながら、佳奈子は静かに目を閉じた。 「………でもね。どこかでけりをつけないと、いつまでも私たち、怯えて暮らさないといけないんだよ?」 「……………」 「また泉さんの奥さんに何かされるかもしれない……泉さん自身が会いに来るかもしれない…って」 目を開け、佳奈子はゆっくりと楓の顔を見上げた。 「こんな不安な気持ちのまま、私結婚式なんか迎えられない」 「………………」 「ちゃんと全部ケジメつけて、すっきりと過去を清算して新しい人生を始めたいの」 諭すような口調で言うと、楓は納得がいかないのか横を向いて唇を噛み締めた。 そのまま何かを考え込むように押し黙ってしまう。 しばらく何も言わずにその横顔を見つめていると、やがて楓はハアッと大きな溜め息をついた。  
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