対峙-2

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(…………楓………) 楓の気持ちを思うと、佳奈子の胸は張り裂けそうな痛みを覚えた。 自分が楓の立場なら、やはり心配だし絶対に行って欲しくないと思うに違いない。 それを断腸の思いで許してくれた楓を、佳奈子は改めて愛しいと思った。 ………自分にはこの人がいるから。 だからこの先何があっても、きっと大丈夫だと。 「………うん。約束する」 楓の胸にしがみつきながら言うと、楓の体がピクリと小さく反応した。 そのままゆっくりと、佳奈子の体を引き離す。 自分を見下ろす不安げな瞳とぶつかり、佳奈子は精一杯微笑んで見せた。 「人の多い所で会うし、充分に気を付けるって約束する」 「………………」 「だから、心配しないで」 楓の瞳が大きくユラユラと揺れる。 それを隠すようにもう一度目を閉じ、楓はおもむろに頷いた。 「…………わかった」 その一言だけを言い、楓は目を開け佳奈子の頬を両手で挟み込んだ。 しばらく視線を絡ませたあと、楓は押し包むように佳奈子の唇に自身の唇を重ねた。 一瞬驚いた佳奈子だったが、すぐに腕を楓の首に回してそれに応えた。 不安を払拭する為か、その後ずい分長い時間、二人はそうしてお互いの温もりにしがみついていた。  
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