対峙-2

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「どうしたの? 食べて?」 張り付いたような笑顔を目にし、佳奈子は石になったように動けなくなる。 ノロノロとフォークに手を伸ばし、小さく麻里に会釈をした。 「………い、いただき……ます」 逃げられない雰囲気を察し、佳奈子は震える手でケーキを口に運んだ。 ………とにかくもう、さっさとこれを食べてこの家を出よう。 今はもうそれしかこの家を出る方法はないように思えた。 「……………朝日奈さんて、とっても綺麗ね」 不意に、向かいに座る麻里がそう呟いた。 急いでケーキを口に運んでいた佳奈子は、驚いてそれを喉に詰めそうになる。 慌ててお茶でそれを流し、否定する為に手を横に振った。 「そ、そんなことないです」 「あら、そんなことないわ。とっても綺麗よ」 「……………」 「数々の男の人、虜にしてきたんでしょうねぇ……」 麻里は頬杖を付きながら、舐めるような口調でそう言った。 その時にはもう、張り付いたような笑顔すら麻里の顔からは消えていた。 「……………」 たまらず、佳奈子はフォークを皿に置く。 あと3分の1ほど残ってはいたが、とてものことそれ以上は喉を通りそうもなかった。  
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