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カランカラン。
乾いた音を立てるドアのチェーン。
中にいたのは……。
「やっほー」
「やっ……?」
がらんとした店の内装に、あっけにとられた。
まるで打ちっ放しの狭いバージョンのような部屋。
魔女も天使も、誰もいない。
無人の部屋に響く『やっほー』。
結果がわかった。
幽霊の、家だ。
商品がないどころか、レジカウンターも内装も、無い。
よし。
帰ろう。
ここはデンジャラスだ。
何も無いけど、デンジャラスだ。
「よし、帰るんだ……」
振り返って、ドアノブを掴む。
木製のドアを、思いっきり開けようとするが。
ノブがいい音を出して外れた。
「があああああああ!!」
どうしてくれんだよこのノブが!
おたんこなす!
あと少しで終わるかもしれない一生、恨んでやる。
全てはお前のせいだとな。
ノブぅぅぅ!
ノブのせいだと!
「あっちゃ、ノブ壊した! たっくん、弁償だ! 弁償、弁償っ。」
……は?
なんなんだこの声は、さっきと同じ。
と、黒パーカの裾が引っ張られる。
「弁償は、いちおくえんなのっ」
……いた。足元に。
チビがいた。
しかし女の子だ。
そしてウザい。
『女子に優しくしよう?』をモットーに生きてる俺への、神の意地悪と考えていいだろう。
左頬にオレンジの星が書かれていて、瞳は空色。
白い髪は、短いウェーブ。
エメラルドグリーンの袖なしワンピースの下には、黒い長袖の服を着ているようだ。
足にはローファー。
身長は、だだでさえ平均的な俺の腰までしか身長がない、女の子。
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