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なんとか無事に仕事は切れることなく繋がってる。
弥生は予定通り、年末年始を東京で過ごすことになった。
ただ弥生の予定通りに行かなかったのは、俺の実家に泊まれなかったことだ。
挨拶と食事だけを済ませたら、准と親父の冷ややかな視線も気にせず俺がマンションに連れ帰ったから。
…まあ至極当然、こうなるでしょ。
この時の俺はまだ知らない。
弥生が仕事を辞めて東京に戻るのは、この冬休みから丸二年後。
しかも、都内の大学に通う准と親父の健康管理のためにも、俺の実家に住むと言い出すことを。
准が結婚して嫁さんをもらうまで屋敷に住むんだそうだ。
もういい、ドアが薄くても大声で泣かせてやると決めた瞬間があることを。
結婚して、早く子供が欲しい。
弥生に似た可愛い女の子。
でも二人きりで過ごす時間があまりにも短すぎた、赤ん坊はまだ先にしよう。
そんな葛藤に悩む日々が来ることを。
明日は大晦日。
新しい年を迎える時、きっと隣にいてくれるだろう。
今はもうベッドの上で疲れ果てて、眠ってしまった人。
その額に唇を押し当てた。
手を握ったら、指輪に触れた。
幸せの塊を抱きながら、俺もいつしか眠りに落ちていた。
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