2249人が本棚に入れています
本棚に追加
「ホントだ、真田圭だ」
本人を目の前にして、お茶の間感覚で呼び捨てにしてしまった。
どうかそれを許して欲しい。
こんな状況、とても現実とは思えないだろ?
夢のゾンビ化の理由も今なら理解できる。
真田圭はハンパないオーラを放ってそこに座ってた。
一度チラッと俺を見たけど、その後の視線は完全に弥生さんにロックされてた。
「なんで、こんなとこに?」
俺に話しかけるなオーラを醸し出してる真田圭。
目の前の弥生さんは首を横に振った。
真田圭様はどうやら観光したいらしい。
女子共の憧れに誘われてるのに、回りくどく断る弥生さんはチャレンジャーだった。
攻守せめぎあう中、挙句には俺まで巻き込まれた。
「編集長、今日は仕事が終わった後、約束があるんです、ね、冬馬君?」
仕事が終わった後?
何かあったっけ?
もしかして、さっき海で話したアレか。
でも、アレはいつもの通り断られた認識だったけど?
しかしながら弥生さんのウルウルとした瞳で「ね、」と言われて、否定できる男がこの世にいるだろうか?
「ん、あぁ、夕飯奢る約束ね」
哀しい男の性だ…
この瞬間、真田圭を敵に回したことは間違いない。
最初のコメントを投稿しよう!