エピローグ

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 翌日、編集部に顔を出したら嶋さんはもう来てた。  夢の隣にいて、薄っぺらい女子トークでもしてたんだろう。 「冬馬君おはよー」  俺を見るとこっちに手の平を向けて、指をバラバラと前後させた。 「他の仕事、後回しにして来たんだから。埋め合わせてもらうわよ」  嶋さんはギャランティを格安にしてくれる代わりに、俺の一晩を拘束する。  といっても、俺は間違いなくノンケだから飲みに付き合うだけだ。  ただ、嶋さんは酔うとかなり質が悪い。  なだめたり、すかしたり、熟練の技が必要だ。  それでも嶋さんの腕がイイだけに、背に腹は変えられない。 「お手柔らかに」 「人聞きの悪い。いつだって私、柔らかいじゃないの! ね、夢」  よく言うよ、ゴリッゴリのハードのくせに。 「私もたまには連れてって下さいよー」 「やーよ、子供は寝てなさい」 「子供じゃないですよ、子供だって産めるんですから」 「キー、ムカつくわね、あんたにだけは冬馬君は譲らないわよ」 「は? 要りませんよ。どうぞ煮るなり焼くなりご自由に」 「ご自由にできるなら、とっくに食べてるわよ!」  ハァ…  セッティングしよう…  床に一度置いた機材を持ち上げた時、弥生さんと真田圭が揃って現れた。  真田圭は相変わらずのオーラだ。  っていうか、弥生さん…  昨日はあんなに避けてたくせに、朝まで一緒コースとか?  いつもと違う?  着ているものや髪型が特に変わった訳じゃない。  何ていうか…纏わりついてた翳りが消えて、甘ったるい印象になった。  挨拶を交わした嶋さんにもそれが伝わったのか、雰囲気が変わったと案の定言われてるし。  一晩でこうも変わるものなのか女って。  その原因は分かりすぎるほど分かる。  真田圭の仕業だ。
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