エピローグ

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 相変わらずチクリとした視線を感じながらセットチェンジを終えると、弥生さんによるインタビューが始まった。  信じられなかった。  この人、誰?  真田圭は最初こそおどけたもののその後は、溶けてしまいそうなメロメロな表情を見せた。  俺が頼んでもニコリともしなかった人が、今やオーラを放つカリスマは存在しなかった。  弥生さんを優しく見つめて穏やかに会話する、ただの男がそこにいた。  俺は数枚の写真を撮ると、そっと部屋を出た。  撮れ高は充分。  この日、真田圭と会話らしい会話をしたのはたった一度切り、撮影終わりの編集部の外だった。
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