エピローグ

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 弥生さんを頼む、と言われた。  束縛が激しそうだから、てっきり東京へ連れて帰るものだと思ってた。  夢に礼を言って握手もしてくれたように、真田圭は傲慢でも礼儀知らずでもないようだ。  態度はデカいけど。 「信頼以上の関係になるかも知れませんけど?」  少し突っついてやったけど、そこは惚気で返された。  もうお腹いっぱい。  っていうか、胸焼けするわ。    二人の好きにしたらいい。  弥生さんとどうこうなりたいなんて、最初から思ってなかった。  ただ、哀しそうで潰れてしまいそうに見えた彼女を放ってはおけなかった。  今や桃色の空気をまとっている弥生さんは、確かに “真田 圭” に夢中なのかも知れない。  だけど売れに売れて忙しい中、こんな田舎くんだりまで追いかけて来た真田圭こそが、弥生さんに夢中なのは明らかだった。  嵐のような男が去ったあと、実はもう一嵐編集部には吹き荒れた。
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