エピローグ

11/13
前へ
/359ページ
次へ
 真田圭が表紙のくまたんは、 『なぜ熊本で真田圭が?』とジワジワと広く話題になった。  需要が大きくなって、フリー冊子なのに増刷、なんて驚きの経験をした。  広告主に営業をかけなくても向こうから問い合わせが入るようになって、編集部はにわかに忙しくなった。  真田圭の号は、実は表紙よりもインタビュー中の写真に話題は集中した。  コアなファンでも、見たことがないレアな表情だったようだ。  撮ったのは誰なのかと問い合わせもあった。  だけど誌面を見た全ての人に謝りたい、俺だけが知る秘密。  あのアホみたいにとろけきった顔も、何ともいえない慈しみの眼差しも…  たった一人、弥生さんだけに向けられたものだ。  俺が引き出した表情じゃない。
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2250人が本棚に入れています
本棚に追加