第1章

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「バかなたー! いい加減起きないと遅刻するよー!!」 バタンッとノックもなしに開けられた扉から、5つ上の姉貴がズカズカと入ってきた。 「ちょっ! ノックくらいしろよ!!」 「はぁ? お姉様に向かって何言ってるの? いいからさっさと起きる!」 「ぎゃっ耳がーー!!」 容赦なく剥ぎ取られた布団の代わりに慌てて頭を隠す。 「耳? そこ頭でしょ。 いよいよ本当にバかなたになったわけ? 言っとくけど一つでも赤点取ったら1ヶ月小遣い無しだからね」 何やら聞き捨てならないことを言っていた気もするが、今はそんなことどうでもよかった。 なぜなら、先ほどまでついていたはずの耳が消えていたから。 「よかった~。 やっぱ夢だったんだな」 「ちょっと聞いてたの? さっさと顔洗って目を覚ましなさいよ」 姉貴が出て行ってから急いで鏡の前に立つ。 「耳、無し! 尻尾……無し!! あービビった。 俺疲れてんのかな。 俺にまでケモミミと尻尾を妄想するなんて……」
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