くしゃみでポンッ

第1章

昨日までは普通だった。

朝、野良猫達に餌をやりつつギリギリの登校。と言っても、生徒指導の教師が立つ正門を避ける為に、塀をよじ登っての登校だが。

それから退屈な授業を夢うつつで聞き流し、悪友の紀田 友弘(キダ トモヒロ)とバカ話をしながら昼飯を食った。

午後の授業は殆ど寝て過ごし、放課後は友弘、通称トモとゲーセンへ。

ゲーセンには初めて見る、二頭身の可愛い動物のぬいぐるみがあった。
『ウサアニマル』という商品名のコレは、色々な動物が耳だけ兎になっているというコンセプトらしい。

誰か分からんが考えた奴グッジョブ！！
超可愛い。

叫びたい心の声を必死に飲み込み、クールな表情を保つ。

「ポーカーフェースを装うとしてるとこ悪いけど、目がにやけてるぜ。
動物好きの カ ナ タちゃん」

「うぜぇ！」

肩にポンと置かれたトモの手を思い切り振り払う。
ちなみにこいつは高校で、というか家族意外で唯一俺の趣味を知っている奴だ。