第1章

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「おい、こいつ『ネコ』だ」 「あの噂の?」 やはり俺の噂を知っているらしい。 「コソコソ喋ってねーでさっさと立てや。 喧嘩吹っかける元気があるなら座る必要ねーだろうが」 「ーーッチ」 まだ何か言いたそうだったが、勝てないと思ったのか舌打ちして次の駅で降りていった。 「ありがとうねぇ」 「ん、大したことじゃねーよ」 お婆さんの嬉しそうな笑顔に、こっちも嬉しくなる。 両親が共働きだった故、俺はばあちゃんっ子なのだ。 「それにしても、綺麗な髪と目ねぇ。 外人さん?」 「いやいや、カラコンだから。髪は染めてる」 髪は銀髪に黒のメッシュ。 目は緑だ。
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